Match maker


その気。



【お互い“その気”ならええんちゃん!?】



「0ちゃんっ!」



【はい、お休みぃ】

その言葉を合図に、明かりが一段落とされた。



「むしろ…部屋に呼んだの後悔してたんだよね。結構大変」



わぁ、それは大変!

何が!?



「いつでも、触りたい。だって、好きだから…」



だっての可愛いさ!



「それなら…私だって…」



“その気”だ。



だって、好きなんだから。



「泊まって行くよね」



「うん…」



「よし、やっぱり先にお風呂に入ろうか」

自分の袖口を匂いながら、彼はそう言った。



「あ、パジャマ忘れた…」



【今からのご注文で1時間以内に届きます。注文しますか?】



「0~!」



【はいはい、お休み~!】



「俺の、着ればいいね。部屋の温度は快適。着なくても…」



何を言い出すのか、あわてて遮るように言った。



「お借り致します」





お風呂から上がると、部屋からもたこ焼きの匂いが消えて



寝室にチョコレートコスモスの花畑が映し出されていた。



…いや、演出!





「お休み0」

【バレたか】

「寝ろよ」

【気になるやんけぇ】

「お前の役目は」

【成婚からの出生率向上…お休みなさい】



…出生率…ん?

子供…



「今日は、まだ…」

何かを察した田中さんが微笑んだ。



寝室のチョコレートコスモスは映像だけのはずなのに



甘い甘い香りが漂った。





“移り変わらぬ…”

そんな、甘い香り。

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