Match maker
「出来なかったんだよ、どうしていいか…」



「え、実雅さん…好きな人がいたの?」

彼女の表情が固くなって、それにいい気がしていないのだろう事は、俺でも分かる。



【3年近く】



「3年!?」



「“evolution”へは良く行く?」

彼女と出会った飲食店の名前を出した。



「うん、あそこ…気軽に食べれるし、ちょっと古いAIもいて可愛いの」



俺の意図を汲み取れていない彼女が、不思議そうにそう言った。



「ずっと、声を掛けたかった。だけど……」



【俺を頼るしかなかったわけ、なんせSS0やからな、俺】



その意味を彼女がゆっくりと理解する。





「嘘でしょ!?」



「本当…なんだ。ごめん、情けない男で」



「こんな格好いい人が店内にいたの!?」



【俺は雅実がSSじゃないの、結構不思議】

0がそう言った。

俺も時々、そう思う。



「なんだ、じゃあ、もっと早く……」



【このタイミングがベスト】



「え、そんなのも…?」



【そ、全ては綿密にかつ……おっと、ここからは政府機密】



「すっごーい、0ちゃん!」



「嘘つけ、説明が面倒臭いのだろう?」



【実雅は賢いから嫌やわ】





雅実は、全部知っても、嬉しそうに笑った。
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