好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】
それ以外の夢に出てくるのはあの日。
始祖の転生が、そう呼ばれるきっかけとなった日。
「紅、るうちゃん……」
……知っても、こうして傍にいてくれるかな?
小路の始祖たちが犯した禁忌を知っても、こうして傍で安心して眠ってくれるだろうか。
無垢の魂たち。
今の私の両手は小さい。
小路に入ったばかりの頃は、こぼれ落ちしまうことは止められず、ただ焦るばかりだった。
でも、今は……私の両手は、片手で紅姫を抱きしめて、もう片手は大すきな手に繋がれていればいい。
そうやって、少しずつ護れるものが増えて行けば。
今やれることは、総てじゃなくてもいい。
今日よりも明日、一歩も進んでいなくても、立ち止まっていても、涙まみれでも。
今ある大事なものは、なくさないように。
抱きしめた手は、繋いだ手は、はなさないようにしたい。
そう思うようになっていた。
始祖たちの禁忌を知って、更に強く。