好きになった子は陰陽師になった。-さくらの血契2-【一人称修正ver.】【完】

肩に額を押し当てたまま、黎は強く抱きしめて来た。

どういう意味なのだろう。覆らないことに文句を言ったって、黎を困らせるだけだ。

……今の黎は、少し傷付いているように見えた。

黎の背中に腕を廻して、私の方からも抱き付いた。

「逢えなくて淋しい分、今いっぱい見ておくとかじゃ、ダメ? 私も淋しくなっちゃう分、黎のこと見たい」

ぴくりと、黎の頭が動いた。

ゆっくりと、黎の頭が持ちあがる。

「……本当?」

「え……と、じゃあ、実習終わったらもっと――」

「淋しいって、思ってくれる?」

< 215 / 314 >

この作品をシェア

pagetop