エリート外科医といいなり婚前同居

鼻を啜りながら泣き笑いを浮かべる私を、礼央さんは愛しくてたまらないというようにぎゅっと抱き寄せた。そして、ため息をひとつこぼしてから呟く。

「可愛すぎるだろ」

そのひと言に胸がぎゅっとなったけれど、いつも感じていた切なさより素直にうれしい気持ちの方が(まさ)った。

だって私たちは相思相愛。甘い関係は、今日で終わりじゃない。この先もずっと続くんだ。

彼の胸にぴたりとくっついて際限なく湧いてくる甘い幸福に浸っていると、スピーカーからようやく運行再開の無線が流れ、私たちは顔を見合わせて笑った。

「長かったですね。観覧車が止まってるの、途中から忘れてました」

「俺も。……まぁ、あれだけキスに夢中になってればしょうがないな」

礼央さんの呆れたようなセリフは、恥ずかしいけれど本当のことだ。

私が「そうですね」とはにかむと、礼央さんは穏やかに微笑んで私の肩を抱き寄せる。

そうしてあと少しの空の旅を、ふたり寄り添って楽しむのだった。


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