大嫌い、だから恋人になる
今日の体育はハードルと走り高跳び。

誰が何の為に、走ってるコースにハードルなんて置いたのか、本当に意味がわからない。ハードルもちびの私には高いし。

私はハードルを飛び越えると言うより、ハードルを倒しながら走った。でも別に脚が短いってわけじゃない。背が低いだけ。多分。

まぁ、スゴい無様な走り方なんだろうなとは思った。

秋山君は私とは逆にハードルに一度も触れず走り切った。あんな人、ハードルに引っ掛かって転んじゃえば良いのに、そうなったら思い切り笑ってやる。

でも心とは裏腹に、秋山君のジャンプの一つ一つに目がいって、転ばないように願ってる自分も居た。

本当に未練ばっかり。忘れたいのに目に入る。見たく無いのに目が行く、大嫌いなのに、やっぱりまだ大好きで、自分が本当にわからない。

授業が終わると私はまた最後の片付けを命じられた。ハードルを全部倒した罰とか。走り高跳びで棒に直接ダイブした罰だったかもしれない。

ハードルを越えて、変なジャンプで棒を飛び越えることが、今後の人生に何の役に立つのか本当に知りたい。

私一人じゃ無理だから他の子も片付け手伝ってくれたけど、納得いかない。

私は重くて運びにくいハードルを体育倉庫まで運んだ。

ハードルを片付けた時、私はふっと思い出した。

秋山君がここで私に告白したんだ。

なんだか全部が夢みたいで、信じられない気持ちになる。

あれからまだ二か月も経って無いなんて信じられない。

その時、倉庫の扉が閉まる音がした。

秋山君が前にやったのと同じだ。
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