大嫌い、だから恋人になる
ちひろに告白をしてしばらくニセモノ彼女として付き合ってみると、ますますちひろのことが嫌いになった。

とにかく頭が悪い、幾ら勉強を教えてもちっとも成績が上がらない。それどころか、勉強が出来ないとこっちのせいにする。こんなのが良くこの高校に入れたなと思った。バカは嫌だ。

弁当を作りたいって言うから作らせたら、とんでもない代物を持って来た。最初は、俺への嫌がらせだと思った。最後は割とましになったけど、彼女になるような女の子が料理下手とか悪夢だ。

「なにそれ、本当に女の子なの?」

春香さんに伝えると、春香さんはバカにしたように言った。

「本当だよ。びっくりだよ」

俺も笑いながら言った。

はっきり言うと、俺は女の子が好きじゃない。ぴーぴーうるさいし、直ぐに泣く、感情的で思い込みが激しく、考えることはころころ変わる。

春香さんを好きになったのは、そういう女の子と正反対だったから。頭が良くて料理も上手。綺麗でお淑やか。全部ちひろとは真逆。ちひろみたいな女の子を好きになる男子が居たら、よっぽどバカなんだろうと思った。

ニセモノ彼女なんて三か月も面倒だ、と本気で思った。自分から言い出したことだから、途中で止めることは無かったけれど。
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