大嫌い、だから恋人になる
セーフ。

授業はまだ始まって無い。

教室の周りには他のクラスの女子が集まってる。

みんなの目当てはわかる。

秋山君だ。

秋山君がちょっとでも話しかけたり、手を振ったりすると、みんなキャーキャー。

まるで芸能人みたい。

私は冷めた気持ちのまま、出口を塞いでる秋山君親衛隊をかき分けて教室に入った。

秋山君は私の席の斜め前。

だから横顔は見える。

確かに顔は格好いい。

睫毛は長くて、色白で、少しボサボサの髪も、秋山君なら良く似合う。

瞳はくりっと大きくて、クラスのどの女の子よりも悔しいけど可愛い。

でも真面目な顔は大人っぽくて格好いい。

笑うと白い歯がきらきらして・・・ってなんで私、秋山君のことばっかり。

秋山君なんて大嫌い。私、絶対にこんな人好きにならない。

秋山君みたいな人、絶対に悪い人に決まってる、私は知ってる。もう絶対にあんな想いは嫌だ。

なっちゃんも凜ちゃんも知らない、私だけの秘密。
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