仁瀬くんは壊れてる
「沙羅」
「んー?」
沙羅のところへ行くと、理沙とメイクポーチの中身を見せ合っていた。
「玲二くんが行っちゃった」
「どこに」
「彼女さんの、とこ」
「さっそくイチャつくんだ。風紀委員呼んで取り締まってもらおーか」
「そうじゃないよ」
「なに」
「殴られてくる。……って」
「はあ?」
「沙羅が止めたからだよ」
「別にうちは……止めてなんか」
「止めてたよ」
沙羅の手を掴み、廊下に連れて出る。
「どうしたの、花」
省エネ人間らしからぬことをしているのは、重々承知だ。
でも、動かずにはいられないと思った。
だって沙羅は。
玲二くんに彼女ができるの――
「悲しそうに見えたよ。玲二くんが告白をオッケーしたって、知ったときの沙羅」
「なんでうちがレイジに彼女できて悲しむの」
「玲二くんが女の子とキスしたらどう思う?」
沙羅が、目を見開く。
「思い返せば、沙羅は。玲二くんの幸せをいつも願ってた」
「そりゃあ。付き合い長いと情も色々と……」
「今更なんて。ない」
沙羅が、教えてくれたことだ。
「フられる覚悟で玲二くんに告白させたのは、どうして?」
「……その方が。アイツの為になると思った」
「そうだよ。あのときね。玲二くん、伝えられて良かったって。言ってくれた」
「!」
「もし、沙羅が玲二くんに恋してるって気付いて。言えないで困ってるなら。わたしに相談してよ」
「ありえない。玲二と、恋するなんて」
「本当に?」
「だって。女として見られてないし」
「それは沙羅が恋しない理由にはならない」
「……言ってくれるね」
「沙羅、恋を知らない頃のわたしに教えてくれたよね。恋したらハッピーだって。それ、誰のこと考えながら話してた?」
「んー?」
沙羅のところへ行くと、理沙とメイクポーチの中身を見せ合っていた。
「玲二くんが行っちゃった」
「どこに」
「彼女さんの、とこ」
「さっそくイチャつくんだ。風紀委員呼んで取り締まってもらおーか」
「そうじゃないよ」
「なに」
「殴られてくる。……って」
「はあ?」
「沙羅が止めたからだよ」
「別にうちは……止めてなんか」
「止めてたよ」
沙羅の手を掴み、廊下に連れて出る。
「どうしたの、花」
省エネ人間らしからぬことをしているのは、重々承知だ。
でも、動かずにはいられないと思った。
だって沙羅は。
玲二くんに彼女ができるの――
「悲しそうに見えたよ。玲二くんが告白をオッケーしたって、知ったときの沙羅」
「なんでうちがレイジに彼女できて悲しむの」
「玲二くんが女の子とキスしたらどう思う?」
沙羅が、目を見開く。
「思い返せば、沙羅は。玲二くんの幸せをいつも願ってた」
「そりゃあ。付き合い長いと情も色々と……」
「今更なんて。ない」
沙羅が、教えてくれたことだ。
「フられる覚悟で玲二くんに告白させたのは、どうして?」
「……その方が。アイツの為になると思った」
「そうだよ。あのときね。玲二くん、伝えられて良かったって。言ってくれた」
「!」
「もし、沙羅が玲二くんに恋してるって気付いて。言えないで困ってるなら。わたしに相談してよ」
「ありえない。玲二と、恋するなんて」
「本当に?」
「だって。女として見られてないし」
「それは沙羅が恋しない理由にはならない」
「……言ってくれるね」
「沙羅、恋を知らない頃のわたしに教えてくれたよね。恋したらハッピーだって。それ、誰のこと考えながら話してた?」