モンスターハンタールチフェル
「母さん……」

「まだ母さんって呼んでくれるのね。
 でも、いつでもあなたの帰りを待ってるわよ。
 ここはあなたのお家でもあるんだから、好きな時に帰ってきていいのよ、アレック」



 アレックは頷き、母親が用意してくれていた旅荷物を受け取って身に着け、大剣を引っ掛けておくためのフックを装着し、そこに大剣を掛けた。

 慣れない重みが全身に感じ取れる。



「それじゃ、行って来ます」

「気を付けてね、アレック」

 母さんはまたアレックに抱きつき、耳元でそう囁いた。

 そして温かいぬくもりが引いていき、離れたのが分かる。

 アレックにはそれがなんだかとても寂しく感じた。

 それから本当の我が子を見送るようかのように優しく微笑み、手を振ってアレックを見送った。



 アレックも手を振り返し、村を後にしたのだった。







 運命とは皮肉な物だ。

 時には心を引き裂く刃物と化し、それまで親しかった仲間との思い出が全て嘘だったかのように関わりを断ってしまう。
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