モンスターハンタールチフェル
(本当に大事な、ものは……)

 黒龍が息を吸い込み始める。

「ルチナ…… ゴメン……!」

「えっ……?!」

 アレックは最後の力を振り絞ってルチナをはね飛ばした。

 そして……



 バゴォォォォォン!!!



「い、いやぁあああああ!!!」

 火球が壁に直撃し、そこにいたアレックも一緒に焼いた。



「そ、そんな、バカな……」

「アレック……!? 嘘でしょ?!」



「ハァーーッハッハッハ! これで1人片付いた! さあ、黒龍よ。残りの雑魚も片付けるがいい!」



「ガァアアアアア――!」

 黒龍は泣き崩れているルチナの方に向き直る。

「う、うぅっ、ウソよ…… どうしてよ、アレック……?」

 黒龍は翼を羽ばたかせて空に飛び立ち、息を大きく吸い込む。

 ルチナはまだ地面にへたりこんだまま、全く動こうとしない。
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