強すぎる彼女と優しすぎる彼
佳子の不安が膨らみ今にもはじけそうなことに龍仁は気づいていた。だからこそ毎日終電ギリギリまで仕事をして、仕事が終わると龍仁の部屋に来る。そしてあまり言葉を交わさないまま龍仁のぬくもりを求める。

佳子なりに不安を埋めようをしているのが分かる龍仁は佳子を今まで以上に抱きしめてはなさなかった。

「佳子」
「いやだ」
佳子はこれから龍仁がずっと話さずにいたことを話そうとしていることが分かった。
「佳子」
「聞きたくない」
佳子は両耳をふさぐ。
「聞いてほしい」
「いやだ」
佳子はそのまましゃがみこんでしまった。

そんな佳子を見るのは初めてだった龍仁。思わずしゃがみこんだ佳子を強く強く抱きしめていた。
< 15 / 198 >

この作品をシェア

pagetop