ヤマタノオロチ


「オロチ様今まで本当にありがとうございます!このスサノオ、あなた様のおかげで、このような立派な男に育つことが出来ました。このご恩、末代まで忘れませぬ」


 それは、別れの言葉。


 自分は、王になる。


 王は何者に対しても頭を下げることは出来ない。


 だから、これは『スサノオウ』ではなく、『スサノオ』としての最後の言葉。


「おいおい・・・今生の別れみたいに言うなよ。」


 言うと、オロチはケラケラと笑い声を上げ、酒をスサノオと同じように、瓶ごと一気に飲み干す。


「は?」


 言われて、頭を上げるスサノオ。


「王になったところで、死ぬわけじゃないんだ。暇でも見つけて、遊びにこい。」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」


 ・・・まったくだ。


「そうだな・・・その通りだな。」


 言うと、スサノオはケラケラと笑い声を上げた。


 それを見て、オロチもケラケラと笑い声を上げる。


 親の子の最後の晩餐。師と弟子の最後の晩餐。


 笑い声に包まれ、二人の男たちは、そんな最後の夜を楽しんだ。


 そしてスサノオは旅立つ・・・須賀の王スサノオウとなるべく・・・・・。


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