ヤマタノオロチ


「スサノオ・・・お前は例えば、人を殺し、それを食いたいと思うか?」


 ちょっと意地悪な質問。


「え?・・・そんなこと、あるわけないだろう?気持ち悪い。」


 まぁ、当然の反応だろうな・・・。


「そういうコトだよ。」


「どういうことだよ?」


 スサノオは全然分からないといわんばかりに頭を捻った。


「人をいくら殺したって、腹は膨れない。むしろ、悲しむものが増えるだけだ。ところが魚はどうだ?同じく命を奪う行為だが、少なくとも腹は膨れるし、喜ぶモノも現れる。」


 事実、お前がイワナ一匹で泣き止んだようにな・・・。


「だから?」


「同じ『命を奪う』行為なら、喜ぶ者がいた方が良いだろう?」


「人と魚が同じかよ?・・・オロチは変わっているな。」


 言うと、スサノオはケラケラと笑った。


 まったく、あの泣き虫小僧が・・・。


 よく、ここまで育ったものだ。


 スサノオ・・・・。


 いや、スサノオウ・・・・。


 お前は、いまや立派な男だ。


 誰にも恥じることはない。


 お前は、須賀の国を背負い王になれ・・・。


 サラバだ・・・スサノオ・・・。


 今まで楽しかった。


 だが・・・・・・相変わらず、釣りは下手だがな・・・・・。


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