ヤマタノオロチ
後一節



 アレから幾年がたった。


 スサノオの噂はオロチの耳にまで届くぐらいのものであった。


 須賀の国は、アレから次々と快進撃を続け、9つの国を落とし、その力をますます増大させていった。


 まさに、戦神スサノオウが治める国。


 須賀はかつての王妃『天照』が治めていた時代より、さらに二倍の大きさと規模を誇っていた。


 風の噂で結婚したとも聞いた。


 跡取りも生まれたらしい。


 ・・・まったく、幸せになりやがって、コノヤロウが・・・。


「川が・・・やせてきたな・・・。」


 そんな中、その異変に最初に気がついたのは、林に住む一介の釣り人、オロチであった。


 隣にはあの時、拾った八又の蛇もいる。


 あれから、すっかりなつかれてしまい、今ではスサノオに代わる同居人である。


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