ヤマタノオロチ
後 五節



 オロチの忠告により、国は救われた。


 だが・・・・・新たな問題が起きていた。


「流行り病か・・・。」


 スサノオウはため息をついた。


 結局銀の発掘上を片付けたところで、川の中から銀がいきなり消えるわけではない。


 魚の中には相変わらず水銀が残っていて、禁漁をすぐに解禁しようものなら、あっという間に病がはびこることは分かっていた。


 だが・・・最悪のタイミングで冬が来た。


 野菜のない季節。


 ある程度は保管こそしているものの、今年は天候のせいもあり、非常に不作だった。


 支配下に置いた国々からも、ある程度は徴収しているが、彼らにだって生活がある。


 徴収できる税には限りがある。


 少ない食糧不足は、飢餓よりも先に流行り病を生み出した。


 肉をとろうにも、この時期、動物を捕まえるのも一苦労だ。


 ・・・・・・それに、狩りだけで生活するなど、数百年前の話。


 誰が、そんな生活に納得できるだろう・・・。


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