偽婚


「はぁ!? それでお金のために、偽装結婚した!?」


大声で叫ぶ梨乃を、慌てて制する。



「ちょっ、声大きいって! こんなの話したの、梨乃だけなんだから!」


保育園の時からずっと、姉妹のように育った私たち。

私の言葉に、梨乃ははっと我に返ったらしく、こめかみを押さえて大きなため息を吐いた。



「いくら籍入れてないからって、結婚したフリして、そんなわけのわからない他人と、ひとつ屋根の下で暮らしてるだなんて」

「でもさ、私も初めは不安だったけど、上手くいってるよ。何だかんだで楽しくやってるし」

「そういう問題じゃないから」


引き攣った顔ですごまれ、私は思わず引いてしまった。

まぁ、誰が聞いたっておかしい話だとは思うけれど。



「だってさ、もう二度とあんな惨めな思いはしたくないし。お金さえあれば何でもできるんだよ?」

「うーん」

「それにさ、住み込みの家政婦にでもなったと思えば、そんなに難しく考えなくてもいいし」
< 43 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop