一人っ子なのに末っ子になりました


「可愛い〜俺、ウブな子好き〜」


俯いたまま固まっている
セーラー服の女子中学生相手に

キラキラベルト君・・・いや
勘違い君はどんどん隙間を埋めてくる


・・・気持ち悪い

・・・臭い

・・・馴れ馴れしい


柔術使いならカッコよく投げ飛ばしてやるものを

普通の中学生の私が何か出来るはずもなく



・・・こういう時は



どうするんだっけ?

よく優羽から絡まれた時の対処法を
レクチャーしてもらっていたのに

こんなピンチに何一つ浮かんでこない


・・・万事休す


どうせ周りの大人達は自分に必死で
他人のことに関心はない

そう諦めかけた時

♪〜♪〜♪


駅前広場の時計がメロディを奏で始めた


・・・やった!18時よ!


ここでジッとしてれば
母がやって来て勘違い君を撃退してくれる

少し肩の力が抜けた

・・・と

「何?やっと?」

やっと?ってなんだ?

鼻歌でも歌うかのような
弾む口振りの勘違い君が

「じゃあ行こっか」

俯いたまま固まった反応薄中学生の肩をガシッと掴むと立ち上がらせた


「ヒャッ」


驚いて変な声が出ちゃったじゃん

てか近っ
・・・いや・・・近っ

ムカついた気分が頭と連動してる筈もないのに

勘違い君に抱かれた肩を若干揺らしながら外そうとして

頭を起こしてしまった

・・・シマッ、タ

「おーーーーっっ超可愛いじゃん」

「俺って見る目あるじゃん」

「スゲーじゃん」

視線を合わせた先に
ヴァンパイア・・・

違う・・・

ツンツンの金髪
金のカラコン
鼻、耳、舌に金のピアスジャラジャラが居た





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