一人っ子なのに末っ子になりました
愛しい魔王様
「気の利いたことは言えねぇ
でも・・・
これだけは言える」
そう言って頭の天辺にキスを落とした理樹は
「琴が好きだ」
そう爆弾を落とした
「・・・へ?」
理樹が私のことを好きって言ったように聞こえるんだけど・・・
幻覚?幻聴?
「違う」
「へ?」
「幻覚でも幻聴でもないぞ」
「・・・っ」
またも脳内お喋りが漏れるという失態
でも
「・・・理樹?」
泣いた酷い顔のことを忘れて
オデコを外すと間近の理樹の顔を覗き見る
「ん?」
視線を合わせた理樹の声が甘くて
心臓が鷲掴みにされたよう
「あ、あの・・・」
私のことが好き?再確認したいけど
なんだか自意識過剰みたいで躊躇う
もしか・・・
好き=LIKEかも・・・
そしたら・・・立ち直れない
視線を合わせたまま
次の言葉が出ない私に
「琴が好きだ、一人の女として」
欲しい答えをくれた
嬉しい・・・
[好き]って言葉が頭に響いて
嬉しくて涙が蘇ってきた
朝から色気ダダ漏れの理樹の顔が歪んで見えて・・・
いや、歪んでも綺麗だけど
そうじゃなくて
ウッカリな脳内お喋りの所為で
「琴を泣かせてばかりだな」
理樹の綺麗な顔が悲しみに歪んだ
違う・・・悲しいんじゃない
「り、き・・・っく」
嗚咽まで始まってしまった残念な喉は
ひたすら泣くことに決めたようで
それでも嬉しいと表現したくて
少しの隙間を埋めるように
理樹の胸に頬を寄せた