一人っ子なのに末っ子になりました
「琴、話がある」
少し機嫌が悪そうな理樹さんは
眉間に皺が寄っていて
いつもより3割り増しの威圧感
「ここで話せ」
「あ゛?」
ここに入った時から変わらず
背中側から腕をお腹に回され肩に顎を置かれて囚われている私は
抜け出そうにも動けず
更に亜樹さんの拒絶の言葉を聞いたら
益々動けない
「琴の部屋で話がある」
そう言って近づいてきた理樹さんは
サッと亜樹さんの腕を外して
私を連れ出してくれた
フゥと肩を落として吐いた息は
「大丈夫か」
どうやら理樹さんにはバレたようで
「あ、はい」
顔を見合わせて薄く笑ってしまった
隣といっても間に
クローゼットやらが配置されているからか
すぐ隣という距離感ではない
隣の私の部屋に入ると
そのままソファへと誘導され
何故か?肩まで抱かれ
「片付けは済んだか?」
甘い声を間近で聞くことになった
・・・兄妹の洗礼か?
優羽に聞こうにも
彼女も一人っ子だから・・・
謎の多い[兄妹]の括りに
頭を悩ませないように
「はい」
出来るだけ感じの良い他人行儀を目指そうとしたのに・・・
「兄妹なのに敬語も“さん”付けも必要ないだろ?」
悪魔の囁きが耳元で聞こえ
背中がフルッと震えた