一人っ子なのに末っ子になりました


「琴、話がある」


少し機嫌が悪そうな理樹さんは
眉間に皺が寄っていて
いつもより3割り増しの威圧感


「ここで話せ」


「あ゛?」


ここに入った時から変わらず
背中側から腕をお腹に回され肩に顎を置かれて囚われている私は

抜け出そうにも動けず

更に亜樹さんの拒絶の言葉を聞いたら

益々動けない


「琴の部屋で話がある」


そう言って近づいてきた理樹さんは
サッと亜樹さんの腕を外して
私を連れ出してくれた


フゥと肩を落として吐いた息は


「大丈夫か」


どうやら理樹さんにはバレたようで


「あ、はい」


顔を見合わせて薄く笑ってしまった

隣といっても間に
クローゼットやらが配置されているからか
すぐ隣という距離感ではない

隣の私の部屋に入ると
そのままソファへと誘導され

何故か?肩まで抱かれ


「片付けは済んだか?」


甘い声を間近で聞くことになった


・・・兄妹の洗礼か?


優羽に聞こうにも
彼女も一人っ子だから・・・

謎の多い[兄妹]の括りに
頭を悩ませないように


「はい」


出来るだけ感じの良い他人行儀を目指そうとしたのに・・・


「兄妹なのに敬語も“さん”付けも必要ないだろ?」


悪魔の囁きが耳元で聞こえ
背中がフルッと震えた













< 62 / 186 >

この作品をシェア

pagetop