一人っ子なのに末っ子になりました


・・・ヤバイ


そう思った時には既に両腕を掴まれた後で


「また会ったねぇ」


そう言って不敵に笑ったのは
三年生のお姉さんだった

・・・怖い

そんなことを思ったのは
非常階段が静か過ぎたから


「あんた、なに?
亜樹さんに媚び売って」


・・・は?


1ミリも売ってませんけどっ

少なからずパニックの私は
優羽に言われたことも忘れて脳内で返事を始めてしまった

それが


「目障り」
「ウザい」
「ブスのクセに」
「身の程知らず」


矢継ぎ早に上がる声に脳内が完全に停止した

掴まれた両腕もこの程度なら簡単に解けると甘く考えていた私は

急に外された腕の感覚と
背中からの強い衝撃に受け身を取ることを忘れて

階段の上から転がるように
落ちてしまった


「・・・っ」


グラリと歪む視界の隅で
三年生のお姉さんと島澤さんが大きな声で笑っているのが見えた


・・・痛い


踊り場に投げ出された身体は
外階段のコンクリートに打つけたからか

どこがという場所もわからないほど
全身が痛い

動けない私の耳に聞こえたのは
バタバタと階下から上がってくる音

・・・もしかして

助けが来たかと僅かに期待した私が見たのは

・・・誰?

東白学園のものじゃない制服を着た
カラフル頭の男子3人だった


「おい、俺たちがヤる前に汚すなよ」


ヘラヘラと笑った三人


・・・ヤバイ


そう思うのに全く動けない


「ごめーんイラついて」


舌を出して笑った島澤さんに


「じゃあ、貰って行くわ」


男はそう言って簡単に私を担ぎあげた


「・・・痛っ」

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