暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。
「俺は迅(しゅん)」
「あ、私は菜乃です」
「知ってるよ!」

この子は、中3くらいでしょうか?

「俺は高1だよ!」
「そうですか。私は高2です」
「それも知ってる!」

この子は何が言いたいんでしょうか?

「本題に、戻ってもいい?」
「もちろんです」
「でさ、桜夜の何が嫌なの?」
「暴走族だからですかね。いやと言うか苦手って感じです。いい思い出がありませんから」

暴走族のせいで、私の生活環境はガラリと変わってしまったんだから。

「暴走族も悪いやつばっかじゃねえぞ?」

そう言ってポンポンと肩を叩かれ、反射的に。

「……!」
「えッ?!う、わ!」

その手を掴んで背負い投げをしてしまった。
……反射的に。
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