暴走族の総長様は、私を溺愛してるらしい。
「まあ、気付くどころか、変な誤解してたけど?あれは一種の才能だよなぁ。こんなあからさまなのに気付かないなんて。いや、天然過ぎるだけか?」
「菜乃は間違いなく後者だよ」

菜乃は、恋愛系の本を全く持ってないし、興味がなさそうに感じる。

「…桜井。ちょっと菜乃に恋愛の本を読むよう、手を回しといてくれないか?」
「いいよ〜。総長のご命令とあらば、なんでもします」
「そうか。じゃあ、とりあえず記憶飛ぶまで殴っていいか」
「え?!なんで?!」
「菜乃の笑顔見た」

俺は静かに拳を振り上げる。

「安らかに眠れ」
「ちょっ…殺す気じゃっ…うわ!」

その日は、俺が一番に菜乃の笑顔を見た。
それ以外には誰も見ていない。
ということになった。

やあ、めでたしめでたし。

煌輝side end
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