Only you〜伝えたかった、たったひとつのこと〜
石原に限らず、俺はクラスの連中とは、ほぼ交わらず、休み時間は読書をして過ごしていた。別に今に始まったわけではない、小学校の時からずっとこんななんだよ、俺は。


そんな俺が本を閉じるのは、隣のクラスの佐久間翔真(さくましょうま)が来てくれる時だけだった。


俺に友達と言う存在があるとしたら、それは翔真以外にはいない。


保育園からの付き合いの翔真。なかなか人の輪に入れない俺を何とかしてやりたいと、世話を焼いてくれる人は、保育園時代の先生や小学校時代の同級生とか何人かいた。


しかしそれは俺にとっては、正直言って迷惑でしかなかった。俺は人と交わるのが、苦手だが、しかしそれを克服したいとも特別、思ってなかったからだ。


ほっといてくれ、保育園の時はさすがに言えなかったけど、小学校の時はハッキリそう言ったこともある。


だが翔真は違っていた。いつも俺のことを気にしてくれたけど、決してそれはベタベタしてもなかったし、押し付けがましくもなかった。


基本的に1人でいるのが、好きな俺を翔真はわかってくれていた。俺のペース、テリトリーに無理に入り込もうとはしないアイツとの付き合いは、本当に心地よかった。


男に対して、こんな表現は、あまりしないのかもしれないが、俺にとって翔真は、友人というより天使だった。俺にとっては、翔真との時間は、大切な癒しの時間だった。
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