Only you〜伝えたかった、たったひとつのこと〜
幹事の開会の挨拶の後、まずは今日は都合がつかず欠席の当時の担任教師のメッセージが読み上げられたあと、1人1分以内の近況報告。


それが終わると、当時のクラス委員の乾杯の音頭でいよいよ宴は開始。無礼講になって、私達は、改めて、賑やかに旧交を暖め始める。


そして、1時間程したところで、幹事から今日欠席のクラスメイト達からのメッセージが読み上げられた。


私達のクラスは幸いなことに音信不通になっている人はいないらしく、今回もとりあえずは全員から出欠の返信は来たそうだ。


就職して、現在遠方や海外にいる人。サービス業勤務で今日も仕事の人、更には既に結婚して子供がいるなんて人もいて、そんな彼らの近況が、読み上げられる度に、私達は盛り上がる。


だけど、彼からのメッセージが読まれることはなかった。


宴が再開され、律儀に1人1人にお酌をして回ってくれた幹事の子に私は、ついに聞いてみた。


澤城(さわき)くん、どうしてるのかな?」


「わからないなぁ。返事は確かに来たけど、欠席に○が付けられてただけだったからなぁ。まぁ、アイツらしいけどね。」


苦笑いで幹事は答えた。


結局、2時半程続いた一次会のあと、繰り出した二次会に形だけ参加した私は、間もなく美里と会場を後にした。


「やっぱり来なかったね、澤城。」


「うん・・・。」


なんとなく、予想はしていたものの、やっぱり寂しかった。
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