小指
「これ、貼ってあげるね」

智くんが持参してきていた
湿布を
私の腕に貼ろうとする

「少し大袈裟だよ」

「ジャージの下
痣になってるから」

大きい体を折り曲げて
ベンチに座っている私の高さに
合わせて
湿布を丁寧に貼ってくれた

大きな手で触れられると
なんだか
胸がどきどきした

優しいと
女は勘違いしちゃうよ?

…なんてね

智くんの
モテる理由がわかる気がするよ
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