セキツイ動物

現在3

「私は先生のセキツイ動物の話も研究職に向いていると言ってくださったことも覚えています。」 「そっか。」
「私、今でも薬剤師になりたいです。でも、理系科目があまり得意ではなくて…。」
「先生は、何で宮下にセキツイ動物についてや研究職に向いているという話をしたと思う?」
「…クラスの中では、理科が一番得意だったからですか?」
「違うよ。僕は、宮下に研究職が向いていると思ったんだ。だけど、宮下が躊躇しているように見えたから、後押ししたくて言ったんだよ。」
「先生は、何で私に研究職が向いていると思ったんですか?」
「宮下が何事においても、一生懸命頑張っているからだよ。宮下は、誰も僕の授業をまともに聞かない中、真面目に聞いてくれたでしょ?僕の質問には、必ず発言してくれたよね。ノートも、しっかりとっていたし。研究職に必要なのは、真面目にコツコツ頑張ることなんだよ。新しい薬とか発明するには、根気がいるからね。」
「先生が私のことをそういう風に思ってくださって嬉しいです。」 
「うん。だから、宮下なら薬剤師になって副作用のない薬をきっと発明できるよ。それに、宮下は優しいから患者さんの心にも寄り添えると思うよ。」
「ありがとうございます。もう少し、頑張ってみます。」
「そうだよ、頑張れ。宮下ならきっと大丈夫だから。」
「はい。」
私は力強く返事をした。
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