一緒に歌おう〜国も、色も、血も越えて〜
音羽はウィーンに留学をしている。ウィーンでも有名なこの音楽学校で、ピアノと歌に力を入れている。ユールヒェンは、音羽がオーストリアで初めて仲良くなった友達だ。フルートを幼い頃から習っているらしい。

「そろそろ帰ろうか」

ユールヒェンがそう言い、音羽も楽譜を片付けた。

二人は放課後、よく音楽室で一緒にお互いの演奏を聴いたりする。それは、音楽が好きな音羽にとってとても幸せな時間だ。

道を歩きながら、音羽とユールヒェンはいろんな話をする。最近観たミュージカルの話、ピアノの先生の話、音楽家の歴史の話など、音楽に関する話が多い。

その時、不意にユールヒェンが口ずさんだ。


Ich wollte eine freundliche Person sein
Einige Vevsprechen, mit zu reden
Ich wische mirdie Tranen ad und gehe heute spaziereh
Weil ich sicher bin, dass ich morgen lachen kann


その歌に音羽の胸がドキッと音を立てる。その歌は、音羽が知っている歌だった。

「それって、歌い手Miraiの歌だよね?」

音羽が訊ねると、ユールヒェンは「そう!」と嬉しそうに笑う。
< 2 / 19 >

この作品をシェア

pagetop