midday crow
身動きできない三人の前を通り、黒髪の女はキーボードに近づく。

肩下くらいまでの黒髪はつややかで、唇は淡く色づいている。

彼女は手馴れた様子でキーボードの電源を入れて、軽く音を出した。

その軽い音に、太陽はぞくりとする。

あ、これは。

これは、あのときにも──。

光輝のキーボードを初めて聴いたときにも──。

女はためらいなく曲を弾き始めた。
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