midday crow
誰、と言われた少女は、慌てたように名乗った。

「あ、えっと、私、一年の永井向日葵といいます」

「はあ。……で、なんて?」

「太陽先輩のことが好きです!」

「…………」

太陽は素直に困惑しているようである。

まあ、知らぬ人間にいきなり好きだと言われれば、そうか。

「……ありがとう。でも、あの、俺君のこと知らないし」

「あ……! 確かに、そうですよね……」

途端に少女──永井向日葵は、泣き出しそうに顔を歪めた。

「すみませんでした、忘れてください!」

「えっ?」

がばっと頭を下げて、ものすごい速さで走り去っていく。

彼女の隣にいた男子も、小さく会釈して、大股で彼女の後を追いかけていった。
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