midday crow
子犬は放課後もどんよりした空気を背負っている。

というか朝よりどんよりが増している。

焔は、本人はさり気ないつもりだろうが、紅羽や彩人からしてみれば露骨に、わかりやすく、太陽を心配していた。

「彩人くん、あれはいつもそうだったの?」

あれとは、目をぐるぐるにして頭を抱える太陽と、ちらちら彼を見る焔の図である。

「いや、今まであんなんになったことは……記憶の限りではない」

「……やっぱりなにか理由はあるよね」

「あるかもしれないけど、紅羽ちゃんが悪い要因だとは、けっして思わない」
< 90 / 361 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop