二人を繋ぐ愛の歌
一分一秒でも長く
「ねえ、堀原さん。
二ヶ月後のライブの前……出来れば土曜日に一日休み欲しいんだけど」

沙弓との電話を切ってスマホを鞄の中に入れてから出入り口の前で電話中のハルトを急かしていた堀原に話しかけると、堀原は方眉だけを器用に上げた。

「ライブ前の土曜日?」

「そう、モチベーション上げるためにもお願い」

「それは彼女に関係するのか?」

チラッとスマホが入ったハルトの鞄を見ながら言う堀原にハルトはわざとらしく首を傾げた。

「彼女って?」

「……あくまでもしらを切る気か」

「しらを切るも何も、誰のことか分からないし」

ニヤリと口角を上げながら言うハルトに堀原は溜め息をつくと、考えておくと言ってドアを開けた。
堀原に続いてドアをくぐるとハルトはアイドルスマイルを携えて歩きだした。

今日は地方のテレビ局での歌番組の生放送で、販売が決定しているライブのDVDやCDの宣伝もかねている。
すれ違う有名人やスタッフに会釈をしたり笑顔で手を降りながら、ハルトは以前沙弓にかけたはずなのに違う女性が出た電話の内容を思い出していた。
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