冬の王子様の想い人
結局、教室まで送り届けてもらうと、言わずもがな周囲からの視線は凄まじかった。
教室内には楠本くんがいて、しかめっ面の親友に一方的に話しかけている。
「あ、雪華、ナナちゃん、お帰り。話はできた?」
私たちにいち早く気づいた楠本くんが明るい声をあげる。
……なぜ楠本くんにまで下の名前を呼ばれているの?
「ちょっと、委員長のくせに委員を軽々しく名前で呼ぶんじゃないわよ」
「委員会の時はちゃんと原口さんって呼んでるし、問題ない」
咎める親友にも動じない。
「……早く氷室くんとここから出て行きなさいよ」
「梨乃ちゃん、美人なのに怒ると恐いね」
「うるさい!」
ここまで邪険にされても平気な楠本くんはすごい。私の隣に立つ雪華も同意見なのか、小さく溜め息を吐いた。
「戻るぞ、桜汰。じゃあな、ナナ」
そう言って踵を返し、ふたりが連れ立って教室の外に出た途端、二組内からは再び壮絶な悲鳴が上がっていた。
それこそ教室内が揺れているんじゃないかと思うほどだ。
「ちょっと今! 冬の王子様がナナをナナを!」
「どういう関係なの!? 付き合ってるの!?」
「氷室くんってあんな風に話すんだ……ああもうカッコいい!」
皆から質問や悲鳴を一挙にうけて困惑する。あっという間に数人のクラスメイトに周囲を囲まれてしまう。
教室内には楠本くんがいて、しかめっ面の親友に一方的に話しかけている。
「あ、雪華、ナナちゃん、お帰り。話はできた?」
私たちにいち早く気づいた楠本くんが明るい声をあげる。
……なぜ楠本くんにまで下の名前を呼ばれているの?
「ちょっと、委員長のくせに委員を軽々しく名前で呼ぶんじゃないわよ」
「委員会の時はちゃんと原口さんって呼んでるし、問題ない」
咎める親友にも動じない。
「……早く氷室くんとここから出て行きなさいよ」
「梨乃ちゃん、美人なのに怒ると恐いね」
「うるさい!」
ここまで邪険にされても平気な楠本くんはすごい。私の隣に立つ雪華も同意見なのか、小さく溜め息を吐いた。
「戻るぞ、桜汰。じゃあな、ナナ」
そう言って踵を返し、ふたりが連れ立って教室の外に出た途端、二組内からは再び壮絶な悲鳴が上がっていた。
それこそ教室内が揺れているんじゃないかと思うほどだ。
「ちょっと今! 冬の王子様がナナをナナを!」
「どういう関係なの!? 付き合ってるの!?」
「氷室くんってあんな風に話すんだ……ああもうカッコいい!」
皆から質問や悲鳴を一挙にうけて困惑する。あっという間に数人のクラスメイトに周囲を囲まれてしまう。