溺愛求婚〜エリート外科医の庇護欲を煽ってしまいました〜

手を合わせて「いただきます」と言ってから、フォークでハムエッグのハムを突き刺し口に運ぶ。

特別な味つけではなくても、誰かが作ってくれたということだけですごく美味しく感じる。

「料理ができるんですね」

「そんなことはない。米を炊くのと、あとは簡単な物しか作れないからな」

「ご謙遜を。篠宮先生はなにをやっても完璧にこなすじゃないですか」

「食べなきゃ体が持たないから仕方なくやっているだけだ。本当に適当な物しか作れないんだ。たまには和食も食べたいのに、そっちはさっぱりだよ」

「そう、なんですか」

「とは言っても、朝しか作らないんだがな。時間がない上にどうしても簡単な物になってしまうから、上達しなくて」

「そうだったんですね。でも美味しいですよ。これだけ作れたら立派です」

「そりゃどうも。本当は白米派なんだが、今朝は白米に合うおかずがなくてトーストにしたんだ。朝は一日の始まりだから、しっかり食べて体力つけないと」

「そうですね、私も朝は必ず食べます」

それも篠宮先生と同じく白米派だ。お味噌汁とだし巻き卵、鮭に納豆がここ最近の私の朝食の定番。

ひとりだと数日は同じメニューになってしまうけれど、好きな食材ばかりなので毎日美味しくいただいている。

こんなふうに誰かに朝食を作ってもらう機会がないから、すごく新鮮だ。誰かと食べる朝食も、かなり久しぶりかもしれない。

「朝食は人間の基本だからな。その日一日の原動力は朝食にあるといえる。少なくとも俺は、食べなきゃやる気が起こらないよ」

そんな子どもじみたところもあるなんて意外だ。

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