太陽と月の物語

そこからの記憶は曖昧で、目が覚めたら病院だった。そばにいた両親から、隣にいた麻子は噴水を囲むブロックと車に挟まれ、即死だったと言われた。

心と朝陽は今も意識は戻らないそうだ。地面に叩きつけられたあとも心は朝陽を抱きしめたままだったらしい。

4人の中で1番怪我が軽かったのは俺。しかし、車とブロックに挟まれていた俺の脚の怪我は重く、医者からリハビリ次第で歩くことは出来ても陸上の世界には戻れないだろうと言われた。

被害者の中で唯一会話が出来る俺のもとに警察が次々と来た。車を運転していた男も事故で亡くなったから、俺の言葉が重要な手掛かりになるらしい。

警察の話によると現場にブレーキ痕はなく、アクセルとブレーキを踏み間違えたのだろうと事故は片付けられていた。
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