光りの中
 高速バスに揺られ、姿月は今日の仕事をぼんやりと振り返っていた。

 もう何年も前から仕事を回して貰っているキャバレーだったが、このところの不景気で客の入りが芳しくなく、年内一杯で店を閉めるという。

 フロアダンサーといえば聞こえは良いが、やってる仕事の殆どが地方都市のキャバレー回り。

 たまにクラブとかのイベントに呼ばれる事もあるが、メインの収入源にはならない。

 楽な生活では無い。

 プロダクションに所属はしているが、仕事の殆どは自分で管理している。

 当てになる仕事先が一つ減るという事は、新しい仕事先を見つけなければならないという事だ。


 そろそろかな……


 自分なりに引き際は決めている。

 ずるずる流されて迄この仕事にしがみつく気持ちは無い。


 ここ迄続けて来た原動力ってなんやろ……


 最近、そういう事をよく考える。

 前に、雑誌のインタビューでこれと同じ質問をされた事があった。


「年に何回もあるわけやないんやけど、舞台やってて背中に電気が走るような感覚になる事があるんです。
 自己陶酔なんでしょうけど、舞台と客席、光りと自分がピッタリとマッチして、ああ、やってて良かったなあって心から思えて来るんです。その年に何回もない感覚を追い求めて続けてるのかも」


 心底、偽りのない気持ちでインタビューに答えた。





 ストリップ業界に居た年数を何時しか越え、一応フロアダンサーとしての姿月というものを確立して来た。

 自分が踊れる場であれば、そこがどんなに悪条件の場所であっても文句一つ言わず踊り続けて来た。

 ストリップ時代から応援してくれているファンも少なくないが、最近はフロアダンサーになってからのファンの方が多い。


 今度は、今度こそは、ちゃんとサヨナラを言うから……


 まだ姿月は、あの光りを求めている。


 幕は少しずつ降りてはいるが……


   2009.2.15(完)
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