再会ロマンス~幼なじみの甘い溺愛~

「やっぱり、あの店のチャーシューは絶品だったね」

「そうですね。柔らかくて美味しかったし、麺が見えないほどのチャーシューの量には驚きました」

「並んでも食べる価値はあると思うわ。汗をかいたから化粧がドロドロ。早く会社に戻ってメイクを直さないとね」

恵利さんとさっき食べたラーメンの話をしながら来た道を戻る。
少し遠いけど、会社から歩いて十五分のところにある行列が出来るほどの人気のラーメン屋だ。
少し早めにお昼にしたので、そこまで並んでいなかった。

車で行けば早いけど、あいにく私も恵利さんも車通勤ではない。
運動がてら歩いて行こうという話になったんだ。
七月後半の暑い時期に汗だくになりながらラーメンを食べて、歩いて会社に戻る。
どんな罰ゲームだ?って感じだけど。

今も額に汗が滲み、ハンドタオルで拭う。

「それにしてもホントに暑いわね」

「そうですね」

返事をしながら何気なく道路を挟んだ反対側の歩道を見て、ハッと息を飲んだ。

嘘でしょ……。
バクバクと心臓の音がうるさい。
どうしてこんなところにいるの?
慌てて視線を逸らし、ハンドタオルで顔を隠す。

あれは間違いなく斉藤さんだ。

テツと一緒に住むようになって二ヶ月。
その間、何もなくて油断していた。

恐る恐る視線を斉藤さんに戻して目で追うと、T字路を曲がってその姿は見えなくなった。

私は安堵から、ふぅと小さく息をはいた。
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