惑星のダンス
こういうときは鉄壁の無表情が恨めしい。天一人であたふたしてばかみたいだ。

足立が小首を傾げて笑う。

「レコーディングが終わったんだっけ?」

「ああ。急ピッチで編集してるらしい。なんでも作曲家の意向で、七月中に配信したいとか」

「へえ。お疲れさま」

「どうも」

天は懸命に焦りを抑えて弁当を空にしていく。課題が期限までに間に合うかどうか、不安で仕方ない。

「なんとか課題を終わらせようと必死なんだろうが、効率よくいこうぜ」

何気なく放たれた言葉に天は口の中のものを噴き出しそうになる。

むせながら涙目で鋭い同級生を睨んだ。

「心を読むな心を、怖いだろうが!」

「課題ってのはなんのためにあると思う、学力を定着させるためだ。ワークしてれば最低限は身につくよ」

苦情をまるきり無視して足立は語る。
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