惑星のダンス
彼女と同様、壁に背を預けてスタジオを見下ろす。実況やら解説やらでやかましい中、一週間の練習の賜物か、愛は危なげなくにんじんを乱切りにしているようだ。

「なに作ってるの?」

「酢豚」

「ほう。肉を揚げなきゃいけないじゃないか」

この料理バトルのルールは至ってシンプル。各チームごとに指示された二つの料理を作り、出来栄えで競う。

料理ができる海の言に、同じく料理のできる、かつ教えた祐実は鼻で笑った。

「あの子らが揚げるなんてこと思いつくわけないでしょ」

「……そりゃそうか」

祐実が鼻で笑ったのは祐実の言う『あの子ら』ではなく自分のことだ。海は肩をすくめる。

『あの子ら』──愛とペアの天は、愛より不慣れな手つきで肉を切っていた。
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