【短】君と、もう少し
『昨日は帰り、一人で大丈夫だった?』
「はい」
『今日は少しゆっくり出来た?』
「はい」
『くすくす…遥ちゃん、さっきからはいしか言ってないよ?』
「はい……、あ」
『くすくす…そんな遥ちゃんも好きだよ』
「…もう!」
『あ…。もうすぐ着くよ…良かったら窓開けてみて?』
その一言に、私は窓辺に駆け込んで、カーテンをシャッと開ける。
その眼下には、自転車に跨って少し息を乱している鳴海先輩の姿があった。
「せんぱい…」
「良かった…もう泣いてなかった…遥ちゃんが泣いてたら、どうしようかなってちょっと必死に考えてて、途中で一回転びそうになっちゃったよ」
てへへと笑う鳴海先輩は、なるべく私に気を遣わせないように、してくれている。
そんな鳴海先輩に、自然と愛しさが湧いて、私は部屋から飛び出して玄関へと駆け出した。