飛鳥くんはクールなんかじゃない



「ほんっと、佐藤ちゃんって鈍感だよな〜。からかいがいがある」

「海は楽しみすぎな」


そして堀田くんまでもが笑いだす始末。


挙句に凛ちゃんまで「あたしでも薄々わかってたよ?」だなんて言い始めて、なんだか私だけおいてけぼりみたいだ。



「ま、佐藤ちゃんみたいな子が幼なじみにいたら、あの飛鳥も独占欲掻き立てられるよな」

「それは言えてるかも」

「え?なん……」


なんで、と。

そう言い切るよりも前に、私の頭にポンとなにか重みを感じた。



そこから伝わる体温で、それが誰のものかすぐにわかってしまう。



「出た、不機嫌王子」

「……お前ら、花帆になに吹き込んでんだよ」

「べっつに〜?」


気がつけば、私の後ろには飛鳥くんが立っていた。


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