願い婚~幸せであるように~
「なにか封筒を渡されている。仕事の話だったのかも。でも……」


私は幸樹さんたちに背中を向けているが、すみれからはよく見えている。すみれは縮まる私とは反対に乗り出している。

そんなふうに見ていたら、気付かれるのでは……と心配になるが、私も気になる。


「封筒? あの人、仕事関係の人なの?」

「一応ちょっとだけあるけどね。あ、触った」

「えっ、 触った?」


つい振り向いてしまい、確かめると……小橋さんが幸樹さんの肩に手を置いて、顔を近付けていた。

なに、あの距離……。

見ていたいけど、見ているのが怖くなり、すみれの方を向く。すみれは嫌悪感たっぷりの顔をしていた。


「やっぱり最低な人ね。結婚したのを知ってるくせに……あ、ヤバい」

「えっ、今度はどうしたの?」


堂々と見ていたすみれが慌てて、メニューで顔を隠す。何事かと後ろに顔を向ける前に肩を叩かれた。


「すみれだけでなく、なんで和花もいる?」

「こ、幸樹さん!」

「お兄ちゃん、ごめんなさい」

「すみれが連れてきたのか?」


ここにいる状況を把握した様子の幸樹さんは私の隣に座った。小橋さんを置いてきていいの?と変な心配をしながら、彼とすみれを交互に見る。
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