願い婚~幸せであるように~
幸樹さんもまさか社長に見られると想定していないだろう。社長と今日一緒に食べると知っていたら、絶対にハートにはしないはずだ。

でも、彼は私が困ったり、恥ずかしくなったりするのをいつも楽しんでいる。だから、誰かに見られて恥ずかしがる私を想像して描いたのかなとは思うが、それを見られたのが社長だと知ったら、嫌な顔をするに違いない。

今日の榊社長の昼食は近くの蕎麦屋から出前した天ざるそばだった。私がこの部屋に着いたとき、もう届いていた。海老が大きくて、特に美味しそうだ。


「幸樹くんから俺がイメージのイラストを描くのを聞いているよね?」

「はい、聞いています。あ! もしかして、出来上がったのですか?」

「うん。こういうのは久しぶりだったから、楽しかったよ。見る?」

「ぜひ見せてください!」


幸樹さんが依頼してから二週間しか経っていないが、榊社長はさまざまなシーンを描き終えていた。

外観はもちろん、エントランスにロビー、ガーデン、カフェ、それに住民のメインである部屋のイメージは二種類。

楽しみながら描いたのだろうけど、仕事がはやい。
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