願い婚~幸せであるように~
箱の蓋を開けるとき、ワクワクしていた私は覗き込むように顔を寄せた。蓋に手をかけていた幸樹さんは、開ける前に私を見て、頬に口づけする。

突然のことに私は口づけされた頬に手を当てて、顔を赤らめた。


「ビックリさせないでください」

「そんなかわいい顔を寄せられたら、キスしたくなる」


彼は笑ってから、蓋をやっと開ける。そこにはシルバーのフォトフレームが入っていた。中に納められている写真は幸樹さんの誕生日パーティーで撮影した一枚。

プロポーズを受けたあと、私たちの服がペアルックみたいだとすみれがはしゃいで撮ってくれた。

こうして見ると、確かに合わせたような組み合わせ。ボルドー色のワンピースに黒のカーディガンを羽織る私と、ボルドー色のネクタイに黒のチノパンを身につけた幸樹さん。


「本当にペアルックみたい」

「うん、そうだな」


笑顔がどちらも少しぎこちない感じではあるが、素敵な一枚になっている。リビングボードの上に飾って、私たちは眺めた。

幸樹さんがチラッと私を見てから肩を抱いて、引き寄せる。近付く顔に胸をドキドキさせながら、目を閉じた。

頬に軽くキスをされ、その後は唇にキスをされる。本日二回目のキスは、触れるだけで離れることなく、深くなっていく。
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