キミに、愛と思いやりを

「はぁー」



またため息が出た。
リボンを外して、ブレザーとスカートも脱いだ。


あたしと目が合いそうになった女の子は、あたしのことをどう思ったんだろう。



「花蓮、どうしたの?」



「あ、お母さん」



いつのまにか、お母さんがあたしの部屋の前に来ていた。



「走ってきたのって、本当に運動のためなの? もし、何か外でこわいことがあったのであれば、お母さんに言いなさいね?」



「ありがとう。でもそういうことじゃないから、安心して!」



「そう……。でももし悩み事は出来たら、ちゃんと言うのよ? 分かった?」



「はい」



なるべく、お母さんを心配させない方がいいもんね。お母さんは、昔から心配性でどんなにあたしが大丈夫と言っても、心の中では絶対に気にかけている。


お母さんは、そういうところをあたしに気づかれないようにしていたようだけど、1人っ子で親以外に家族では会話相手がいないから、気づけた。


それも、お母さんの優しさでもあることは分かっているけどね。




< 39 / 167 >

この作品をシェア

pagetop