キミに、愛と思いやりを

花蓮side

【思い出を黒く塗りつぶして】


あたしは、今日も仙谷くんの学校を少し覗いてしまった。


もう何だか、放課後は仙谷くんが通っている学校へ行って彼を見るのが当たり前になってきたな。不審者みたいだ。


けれど今のあたしは制服を着ているし、サングラスやマスクだってしていないので不審者みたいな行動をしても、不審者と思われることはないだろうな。


……って、あたしは一体何を考えているんだか。


やっぱり仙谷くんは、3人の女の子達と一緒にいる。



「仙谷くんって、どんな花が好きなの?」



3人のうち1人の女の子が焦げ茶色の長い髪を揺らしながら、仙谷くんに聞いた。



「基本的にどんな花でも好きだよ。流川(るかわ)さん達は?」



どの子が流川さんなんだろう。


3人いるし、彼がどの子を見ているのか全然分からない。
けれど、今の『仙谷くんって、どんな花が好きなの?』と聞いた女の子だろうか。


彼女らがなんて名前なのか分からないので、直接聞かないと無理だろうな。
とはいっても、いきなりあたしが出てきて『なんてお名前ですか?』と聞くことだって変だ。


あたしは、首を傾げながらその場所を見続けるしかなかった。




< 42 / 167 >

この作品をシェア

pagetop