香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
恐らく、二階から飛び下りたのだろう。
両膝を押さえて痛みをこらえている。
彼の横にいる男も同じように顔をしかめて足を押さえていた。
クルミがいた娼館はガガガと地響きのような音を立てて一気に崩れ落ちる。
その様子を周りにいた者は皆は、ブルッと肩を震わせた。
もたもたしていたら、クルミも助からなかったな。
彼女に手を貸して立ち上がらせると、ルーカス王太子の方を向き、礼を言った。
「ルーカス王太子、彼女を助けてくれたことに感謝する」
「あ~、いいの。いいの。彼女とは一夜を共にした仲だし」
ニヤリとする彼に殺意を覚えた。
ギロッとルーカス王太子を睨みつけると、クルミがギョッとした声で彼に反論した。
「変な言い方しないで下さい!あなたと男女の関係になんかなってませんからね!」
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