香りであなたを癒やします ー 王太子殿下、マッサージはいかがですか?
ヴィクターの妹は俺が今まで会った中でも一番か二番というくらいの美女だが、高慢でわがままな上に浪費家。
『お前の話だけでは全然想像がつかないな』
正直にそう伝えれば、ヴィクターはフフッとどこか謎めいた笑みを浮かべる。
『まあ、会ってみれば違いがわかるよ。妹はアレンのお嫁さんになるみたいだしね』
俺の嫁?
彼の言葉に眉をひそめた。
『それは、初耳だな。俺は国王から何も聞いてないぞ』
『言ったら反対するのが目に見えてるからだよ。世継ぎの君が二十四になってまだ結婚していないのは、由々しき事態だと周囲も騒いでるじゃないか』
『結婚なんて面倒だな。世継ぎが必要なら姉上の子供を養子にでもすればいい』
俺には三つ上の姉がいて、六年前に他国に嫁ぎ、子をふたりもうけた。双子の可愛い男の子だ。
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