ただ愛されたいだけなのに


 今までは、ケンカした後の正紀からの謝罪のメッセージで涙を流して喜んでいたけれど、今や涙はおろか、哀れなメッセージに同情心がわきあがった。昨夜受け取った数々の暴言を無かったことにしてくれなんて、むしがよすぎる。

 でも待って、ここは冷静に……。正紀と付き合っていながら、チャンスがあれば先生と付き合って、あっさり正紀を切り捨てたら、どれだけ傷つくか分かるんじゃない?
 でももしかしたらわたしも今は気が高ぶっているだけなのかも。別れたらきっと後悔する。これまでケンカのたびに後悔してきたように……それに、ここまできてけっきょく会わないで別れるなんて、正気じゃない。それに……わたしの方が今まで噴火することが多かった。今回は立場が逆なだけだ。

 
 夢 :これが最後だよ。もうケンカなんかした
    くないし、あんなふうな暴言も聞きたく
    ない。わたしにも直すところがあるから
    お互いに成長していこう。


 正直なところ、正紀との関わりで、自分に落ち度があるなんて思っちゃいないけど。ほんのすこし以外は。



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