ただ愛されたいだけなのに


 
 夢 :あんなこと言って、ごめんね。わたしに
    とって、バイトの出来事はすごくショッ
    クで、耐えられなくて神経質になってた
    の。まぁ、わたしは普段から神経質っぽ
    いけど。でも、ほんとにごめん。

 文を読み返していると、正紀からすぐに返事がきた。
 どうしよう、正紀は本気で別れるつもりなのかも。別れのメッセージを送ってきたのかも。
 わたしはまたもや泣きだした。ボロボロ泣きつくして、三十曲のPVが終わってから、ようやくメッセージを開いた。


 正紀:あのさ、別れたのかな、俺たち。
    俺はただのケンカだと思ってるんだけど

 わたしが返事を打つ前に、またメッセージが届いた。

 正紀:仕事のこと、ほんとうに悪かった。
    明日から仕事探しは大変だとは思うが、
    応援する。


 教訓……すぐ感情的にならぬべし。
 明日はきっと、目が腫れてとんでもない顔になるわ。けれど、ケンカの後の仲直りの時間って、すごく幸せ。付き合ってまだ日が浅い頃の照れくささとよく似ている。
 わたしはきっと、おしっこをするところじゃなくて、口から産まれてきたんだと思う。でなきゃ、あんなに感情的に発狂するはずがない。





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